近年の再生可能エネルギーへの関心の高まりとともに、ペロブスカイト太陽電池は次世代の太陽電池として大きな注目を集めています。ペロブスカイト太陽電池市場は、2024年の2億7100万米ドルから2028年には22億6800万米ドルに成長し、予測期間中のCAGRは70.1%になると予想されています。 ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池に比べて製造コストが低く、エネルギー変換効率が高いという特徴があります。また、軽量で柔軟性があるため、様々な用途に利用できる可能性を秘めています。
本稿では、ペロブスカイト太陽電池関連の有望株について、企業の技術力、競争優位性、市場シェア、将来性、成長 potential 、リスク要因などを考慮しながら分析し、投資の観点から有望な企業をいくつか紹介します。
ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイト構造を持つ有機金属ハライド化合物を用いた太陽電池です。 従来のシリコン太陽電池に比べて、以下の点で優れています。
製造コストが低い: 塗布や印刷技術で製造できるため、シリコン太陽電池のように高価な製造装置を必要としません。
エネルギー変換効率が高い: 理論的にはシリコン太陽電池を超える変換効率が期待されています。
軽量で柔軟性がある: 薄膜化やフレキシブル化が容易なため、様々な形状の製品に搭載できます。
これらの特徴から、ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池として、大きな期待が寄せられています。
ペロブスカイト太陽電池関連企業
ペロブスカイト太陽電池の開発・製造に携わっている企業は、世界中に数多く存在します。主な企業を、地域別に以下に示します。
日本
K&Oエナジ
日揮HD
マクニカHD
レゾナック
日産化
伊勢化
カネカ
三菱ケミG
積水化
フジプレアム
日精化
サカタINX
富士フイルム
ENEOS
AGC
倉元製作所
海外
Oxford PV(イギリス)
Greatcell Energy(オーストラリア)
Saule Technologies(ポーランド)
CubicPV(米国)
Swift Solar(米国)
UtmoLight(中国)
Hanwha Q CELLS(韓国)
Microquanta Semiconductor(中国)
EneCoat Technologies(日本)
GCL-SI(中国)
これらの企業の中から、特に有望と思われる企業を以下に紹介します。
有望株分析
Oxford PV
Oxford PVは、イギリスに拠点を置くペロブスカイト太陽電池のリーディングカンパニーです。 同社は、ペロブスカイト太陽電池の開発において、世界で初めて27%を超える変換効率を達成し、 さらに28.6%まで向上させています。 2022年には、世界初のペロブスカイト太陽電池の量産ラインをドイツに建設し、商業生産を開始しています。 同社の技術力は高く評価されており、将来性も期待されています。Oxford PVのペロブスカイト技術は、標準的なシリコン太陽電池と比較して、より低いエネルギーコストと環境負荷で優れた性能を提供することが期待されています。
技術
Oxford PVは、ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池を組み合わせたタンデム型太陽電池を開発しています。 この技術により、単接合型太陽電池よりも高い変換効率を実現しています。 また、同社は、薄膜ペロブスカイト太陽電池の開発にも取り組んでおり、将来的には45%を超える変換効率を目指しています。
競争優位性
高い変換効率: 標準的なシリコン太陽電池と比較して、20~50%高いエネルギーを生成できます。
量産体制: 世界初の量産ラインを保有し、商業生産を開始しています。
特許: 多くの特許を保有しており、技術的な優位性を確保しています。
効率的な製造プロセス:記録的な太陽電池セルは、市販のセルと同じ生産ラインで製造されています。
**成長 potential **
市場の拡大: ペロブスカイト太陽電池市場は、今後急速に拡大すると予想されています。
用途の拡大: 住宅用屋根、商業用屋根、特殊用途、電力規模の用途など、様々な用途への展開が期待されています。
米国での商業販売開始:2024年9月、Oxford PVは米国のお客様に次世代ペロブスカイトタンデム太陽電池パネルを初めて販売しました。 これらのパネルは、従来のシリコンパネルよりも最大20%多くのエネルギーを生成でき、電力規模の設置に使用されます。
リスク要因
競争の激化: ペロブスカイト太陽電池市場には、多くの企業が参入しており、競争が激化しています。
耐久性: ペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池に比べて耐久性が低いという課題があります。
資金調達: 研究開発や生産設備の増強には、多額の資金が必要となります。
専門家の分析
Oxford PVは、ペロブスカイト太陽電池技術の分野で先駆者であり、認められたリーダーです。 同社は、近い将来、ペロブスカイト太陽電池技術を用いた高効率太陽電池パネルを大量市場に投入する態勢が整っています。
CubicPV
CubicPVは、2021年に設立された米国に拠点を置くペロブスカイト太陽電池メーカーです。 同社は、タンデム型太陽電池モジュールの開発に注力しており、ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池を組み合わせることで、高い変換効率と低コスト化を実現しています。 また、米国での生産に力を入れており、サプライチェーンの強化にも取り組んでいます。 CubicPVは株式公開しておらず、非公開会社です。
技術
CubicPVは、4端子アーキテクチャを採用したタンデム型太陽電池モジュールを開発しています。 このアーキテクチャにより、電流整合に伴う問題を回避し、シリコンの凹凸のある表面ではなく、ガラスに直接コーティングすることができます。 その結果、製造が容易になり、他のアプローチよりも優れたフィールド性能を発揮します。
競争優位性
タンデム型モジュール: ペロブスカイトとシリコンを組み合わせることで、高い変換効率を実現しています。
低コスト化: 独自のDirect Wafer技術により、低コストでの生産を実現しています。
米国での生産: 米国での生産に注力することで、サプライチェーンのリスクを軽減しています。
戦略的パートナーシップ:CubicPVは、OCIMと長期的なシリコン供給契約を締結しています。 これにより、同社のサプライチェーンの安定性が確保されます。
**成長 potential **
市場の拡大: タンデム型太陽電池モジュール市場は、今後大きく成長すると予想されています。
IRAの恩恵: 米国では、インフレ抑制法(IRA)による優遇措置を受けられる可能性があります。
リスク要因
競争の激化: タンデム型太陽電池モジュール市場には、多くの企業が参入しており、競争が激化しています。
耐久性: ペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池に比べて耐久性が低いという課題があります。
資金調達: 研究開発や生産設備の増強には、多額の資金が必要となります。
市場の変化:市場の状況変化により、CubicPVは米国でのシリコンウェハ工場の建設計画を中止しました。 代わりに、タンデム型太陽電池モジュールの生産に注力しています。
専門家の分析
CubicPVは、太陽電池技術のイノベーションの最前線にいる企業です。 同社のタンデム技術は、太陽光発電のブレークスルーとなり、エネルギーの展望を変える可能性を秘めています。
Saule Technologies
Saule Technologiesは、ポーランドに拠点を置くペロブスカイト太陽電池メーカーです。 同社は、インクジェット印刷法を用いたフレキシブルなペロブスカイト太陽電池の製造技術を開発しました。 この技術により、軽量で薄型の太陽電池モジュールを低コストで製造することが可能になります。 また、同社は、IoTやBIPVなど、様々な分野への応用展開を目指しています。Saule Technologiesは、ワルシャワ証券取引所でティッカーシンボルSLTPで取引されています。
技術
Saule Technologiesは、インクジェット印刷法を用いて、フレキシブルな基板上にペロブスカイト太陽電池を製造する技術を開発しました。 この技術により、従来のシリコン太陽電池では不可能であった、曲面や柔軟な形状の太陽電池モジュールを実現することができます。 また、同社は、低照度環境下でも高い発電効率を維持できるペロブスカイト太陽電池の開発にも成功しており、IoTデバイスへの応用が期待されています。
競争優位性
フレキシブル性: インクジェット印刷法により、フレキシブルな太陽電池モジュールを製造できます。
低コスト化: 低温での製造プロセスにより、低コスト化を実現しています。
用途の多様性: IoT、BIPV、e-mobilityなど、様々な分野への応用が可能です。
軽量設計とカスタマイズ可能な形状: Saule Technologiesのペロブスカイト太陽電池は、軽量で、様々な形状やパターン、色に印刷することができます。
**成長 potential **
市場の拡大: フレキシブル太陽電池市場は、今後大きく成長すると予想されています。
IoT市場への展開: IoTデバイスへの搭載により、大きな需要が見込まれます。
BIPV市場への展開: 建材一体型太陽電池(BIPV)としての利用が期待されています。 特に、同社のペロブスカイト太陽光発電ガラスは、ガラスの層間にラミネートされたフレキシブルな箔に印刷された半透明の太陽電池セルを統合することで、エネルギー効率の高い建物の設計におけるブレークスルーとなっています。
リスク要因
競争の激化: フレキシブル太陽電池市場には、多くの企業が参入しており、競争が激化しています。
耐久性: ペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池に比べて耐久性が低いという課題があります。
資金調達: 研究開発や生産設備の増強には、多額の資金が必要となります。
株価の変動性と資金繰り: Saule Technologiesの株価は変動が激しく、1年未満のキャッシュランウェイしかありません。
専門家の分析
Saule Technologiesは、建物のエネルギー効率を向上させる革新的な建材一体型太陽光発電(BIPV)ソリューションを提供しています。 同社のペロブスカイト太陽電池は、柔軟性、軽量設計、様々な光条件下での高い効率など、比類ない利点を提供しています。
結論
ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池として、大きな potential を秘めています。 上記で紹介した企業以外にも、多くの企業がペロブスカイト太陽電池の開発・製造に取り組んでおり、市場は今後急速に拡大すると予想されます。 投資家は、各企業の技術力、競争優位性、市場シェア、将来性、成長 potential 、リスク要因などを考慮しながら、有望な企業を選定する必要があります。
しかしながら、「純粋なペロブスカイト関連株」といえる株式公開企業は現状存在しません。 上記の企業のうち、株式市場に上場しているのはSaule Technologies(ワルシャワ証券取引所: SLTP)のみです。Oxford PVは非公開企業ですが、Meyer Burger(スイス証券取引所: MBTN)がOxford PVに投資しているため、Meyer Burgerの株式を保有することで間接的にOxford PVに投資することができます。 CubicPVも非公開企業です。
投資を検討する際には、各企業の財務状況、技術、競争環境などを詳しく調査し、ペロブスカイト太陽電池市場の将来性とリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要があります。
